非常に残念なニュースです。
南米ベネズエラの首都・カラカスにて、軍事パレードの最中に、マドゥロ大統領が演説している近くで爆薬を積んだドローン(小型無人機)2機を爆発させたとして、大統領暗殺未遂の容疑で6人が逮捕されたそうです。ベネズエラ当局によりますと、兵士7人が負傷する被害が出たとのことです。(参照記事より)
事件に関する詳細等は以下の参照記事が参考になると思いますのでご覧ください。
<「ドローン攻撃」大統領暗殺未遂か ベネズエラで6人逮捕 (BBC News)>
ベネズエラは数年前より独裁政権と反政府勢力の争いや、あらゆる”もの不足”により「世界トップクラスに治安の悪い国」と言われており、経済も治安も非常に劣悪な状態です。ベネズエラ国民の中には、現在の状況を「戦争よりひどい」という者もいるそうです。世界最大クラスの原油埋蔵量でありながら、それを上手く扱えずに(精製することができず)、それゆえ石油・ガソリンが不足し他国から輸入、ガソリンスタンドには長蛇の列という皮肉な事態にも。
あまりにひどい国内情勢に耐えかねて、隣国のコロンビアに多くの人々が移り住み、その数は50万人以上となりました。結果、コロンビアでは教育システムや保健衛生面において相当な負担になっているそうです。(マドゥロ大統領が今回の事件にコロンビアが関与したな!と述べたのはこのような事情からと思われます)
たしかにベネズエラの状況は酷いなと思いますが、理由はどうであれ、暴力・テロ行為は許されるものではないですし、今回それにドローンが使用されたことは大変遺憾です。
ドローンがテロ行為など、人を攻撃する「武器」として使われたのは今回が初めてではなく、中東などでは手榴弾を投下するドローン、マシンガンを搭載したドローンも使用されたことがあります。武器ではないですが、ご存知のように日本でも2015年に首相官邸に落下させる事件がありました。米国でもホワイトハウスの庭に落下ということもありました。ですから一部の人々は以前から、ドローンによるテロの可能性を危惧し、ドローンの規制をかなり強化すべきだ、と訴えています。迫る東京オリンピックの開催もありますし、(海外の事件ではありますが)今回の事件を踏まえ、近いうちにドローン規制強化も実際あり得るかもしれません。
ですが、これはなにもドローンに限った話ではなく、「便利なもの」ほど何であっても使い方ひとつで最悪な武器になりかねない、ということだと思っています。空を飛ぶ・という観点から過剰に反応されるのは仕方ないとは思いますが、使う人が正しく使用さえすれば、なにも使用や所持を極度に制限・規制(例えば趣味での飛行や所持禁止とか)する必要はないのではないかと思うのです(確かに、私自身も現行の航空法を考えた時、多少規制強化すべきだなと思うところはありますが)。
今回の事件記事を見て、正しいドローンの使用・飛行・管理を指導するドローンスクールの講師という立場として、その責任や使命の重大さを改めて重く受け止めました(少々大袈裟な言い方かもしれませんが(^^;)